クルマの傷「自分でタッチペン補修」大丈夫なの!?「プロは高いし…」実際何が違うのか 職人が語る「絶対気を付けるポイント」とは
口コミを書く
口コミを見る
くるまのニュース より

自分でやれば安上がり ホント?
ボンネットに飛び石が当たったり、ホンの少しだけフロントフェンダーをこすってしまったり…クルマに傷が付くのは誰でもイヤなものです。
「板金塗装」するほどの大きな傷ではないけれど直したい、そんなときは「タッチペン」の出番です。しかし、素人でも簡単に治せるのでしょうか。
メーカー純正品か社外品かを問わず、多くの市販車のボディカラーには補修用のタッチペンが用意されています。
さまざまな色のペンが展開されていますが、例えば旧モデルだったり限定色などで、自分の愛車のボディカラーに合うタッチペンがない場合も、カラーコードを元にして専用に調合してくれるサービスもあります。
ペンの価格は大手カー用品店では1000円前後からととても良心的。お手軽に傷隠しができるタッチペンは、たとえすぐに使うことがなくても、手元に置いておきたいカー用品のひとつです。
さて、そうやって自分で傷隠しをした場合、クオリティは一体どうなのでしょうか。
具体的には「これならプロの板金塗装屋に依頼しなくても、ふつうに許容範囲内だ」となるのか、「がんばってもこの程度なら…やっぱり多少の出費しても、プロに頼んだほうがきちんと治るな」となるのか。実際のところを見てみましょう。
板金塗装のブースを持つ、とある整備工場の職人さんは「一般の方がタッチペンで補修して何とか形になるのは飛び石くらいまで、でしょうか」と話します。
「バンパーやフェンダー、ボディパネルなどで、ガリガリとこすってしまったような『広範囲の傷』の補修は避けるべきです。
経験のある方なら想像できると思いますが、一般の方がDIYで広範囲の傷をタッチペンで地道に補修するとしても、仕上げの粗さが目立ってしまい、かえってみすぼらしくなってしまうんです。
説明書どおりに傷の周辺を含めて『脱脂処理』して『コンパウンド』で研磨し、バッチリ『下地処置』して、それからタッチペンを塗ったとしても…なかなかきれいには直らないんですよね。
仕上がりを見て、結局はプロに依頼することとなり、それまで費やしてきた時間とお金が無駄になってしまいます」

プロの職人が語る「タッチペン補修」の極意とは!?
また、別の板金塗装職人さんは、タッチペン補修の際の注意点として「付属のブラシは使わない方がいいです」と話します。
「塗料が多すぎて、傷の部分に塗ったとしても垂れてきてしまうのです。
私がおすすめしているのは、ティッシュペーパーに塗料を含ませて、傷口に少しずつトントンと軽く叩きながら塗り込んでいく方法です。これなら、思わぬ塗料付きになって失敗する確率がグッと下がります。
その代わり…やっぱり仕上がりが、簡易的な『傷隠し』程度になってしまいますよね。
まあ、はじめから完璧な仕上がりを求めず、自分なりの妥協点を見出すことが大切です。煩雑な作業が減りますし、気が楽になりますよ。
だいたい『2メートルくらい離れて見て分からなければOK』くらいの緩さがポイントです。
あと、傷隠しもそうですが、『シリコンオフ』を使った事前の脱脂処理は、重要な工程です。面倒でもお忘れなく」
ここで出てくる脱脂処理というのは、塗装しようとする露出金属面についた油分を落とす作業のことです。
つまり皿洗いで家庭用洗剤で油汚れを落とすような工程です。これをしないと、塗料が油にはじかれて、うまく仕上がってくれません。紙にクレヨンが付くと、クレヨンの油のせいで絵の具が乗ってくれないようなものです。
シリコンオフというのは、金属パーツ洗浄剤とはまた別で、塗装面の脱脂処理に特化したものです。金属パーツ洗浄剤を使ってしまうと、洗浄力が強すぎて表面を荒らしてしまうおそれがあるので、注意しましょう。
※ ※ ※
以上のように、プロの作業は、緻密で繊細な技術を必要とし、その結果美しい補修仕上がりとなります。いっぽう、自分で作業すれば、工賃はいりません。ここで「きれい・安いという両方のメリット」を自力作業で求めるのはやめたほうがいいでしょう。
完璧な仕上がりを求めず、妥協点を見出すこと。広範囲の傷であれば板金塗装のプロフェッショナルに修理を依頼すること。という判断が妥当に思われます。