ガソリン車は暖房使っても燃費に影響ないけど……EVってどうなの!?
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ベストカーWeb より
内燃機関モデルのクーラーは燃費に多少影響があるが、暖房はそうではないというのは常識。だが、電気自動車はどうなのか? 航続距離が短くなるとは思うのだが、超寒い時期などどうするのが正解!?
文/小鮒康一、写真/AdobeStock・ベストカーWeb編集部
■エンジン車の暖房は熱を有効活用!! 燃費にも影響なし
朝晩にクルマに乗ったときは暖房を使いたくなる季節となってきた。一般的なエンジンを搭載したクルマの暖房はエンジンが発生した熱を有効利用しており、エンジンが暖まるまでは温風がでないという経験をした人も多くいることだろう。
では熱源となるエンジンを搭載しない電気自動車において暖房はどのように暖かい風を生み出しているのか? そして電費や航続距離への影響はいかほどのものがあるのだろうか?
■EVの暖房は2種類あるも電費は悪化! 排熱を利用できないのがネック
前述したように電気自動車は大きな熱源となるエンジンを持たないため、排熱を利用した効率のよい暖房機能を備えていない。
ではどのような方式で暖かい風を生み出しているのかというと大きく分けて2種類あり、ひとつは「ヒートポンプ」、そしてもう一つが「PTCヒーター」というものだ。
ヒートポンプというのは家庭用のエアコンでも多く使用されているもので、熱交換機によって外気の熱をエアコンの冷媒によって回収し、ポンプによって冷媒を加圧することで熱を発生させるというもの。つまりエアコンで冷やすのと逆の方式で熱を発生させるというワケだ。
一方のPTCヒーターとは、電気抵抗の大きな素材に電流を流すことで熱を発生させ、その熱を車内に送り込んだり、その熱で水を加熱し間接的に車内を温めたりする方法となっている。
前述のヒートポンプ式は一気に温度を上げることを苦手し、後者のPTCヒーターは即効性は高いものの、消費電力が大きいという弱点があるため、最近の電気自動車では両方のシステムを搭載し、状況に合わせて使い分けるというケースが一般的となっているのだ。
ただし、どちらの暖房システムも、そもそも熱がないところに電気の力を使って熱を発生させるという根本の原理は同一であるため、電気自動車は暖房を使うと確実に電費が悪化してしまう。
エンジンとモーターを併せ持つハイブリッド車であっても、エンジンを熱源とするために暖房使用時はエンジンがかかる頻度がアップしたり、ヒートポンプ式やPTCヒーターを搭載している車種であっても、前述のように熱を発生させるために電力を必要とするということは変わらない。
そのため、結局のところ暖房を使うと電費や燃費はどうしても悪化してしまうというのが事実なのである。
■消費電力少ないシートヒーターがオススメ
とはいえ、メーカー側もその弱点は重々承知しているため、少ない電力で直接的な暖かさを感じることができるシートヒーターやステアリングヒーターといった装備を標準で装備している電気自動車がほとんどで、真冬の厳寒期でなければメインの暖房を使うことなく快適に運転することが可能となっている。
ただ、本格的に寒い時期になっても電費を気にするがあまり、厚着をしたりひざ掛けなどを用意したりして暖房を使うのを我慢するというのはオススメできない。
そもそも厚着をしたりひざ掛けをしたりすると運転に支障が出る可能性もあるし、そこまで苦労したとしても稼げる航続距離はたかが知れているので、“ギリギリ充電スポットにたどり着けるかどうか”のように緊急事態以外の極限ドライブはしない方がいいだろう。
ちなみに経験則から言うと、暖房なしの真冬のドライブでは、身体や指先はシートヒーターやステアリングヒーターである程度凌げるものの、足の指先の寒さと車内と車外の寒暖差によって窓が曇りまくり、視界が失われてしまうという恐怖体験を味わうハメになってしまうのだ。