オプションなのに選ぶと「安くなる」!? 謎すぎるクルマの「レスオプション」って一体ナニ? “あえて”選ぶ理由も
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くるまのニュース より
ユーザーに配慮しあえて「レスオプション」とするケースも
新車を購入する際は、標準装備に加え、メーカーオプションの装備を追加して選ぶことができます。
しかしなかには、選択すると装備が省かれる「レスオプション」なる謎の設定もあるようですが、なぜこのような仕様があるのでしょうか。
新車でクルマ選びをする際は、車種やグレードを選んだあと、自分好みのオプションを選択するのも醍醐味といえます。
そのオプションには大きく分けて「ディーラーオプション」と「メーカーオプション」の2つがあります。
ディーラーオプションは、そのほとんどが車両納車後に販売店で装着できるものですが、生産工場で車両製造時に装着されるメーカーオプションは、基本的に納車後には後付けができません。
車両契約時のタイミングで、オプションを装着するかどうか悩むユーザーも多いと思います。
そのようなメーカーオプションのなかには、選択すると装備が省かれる“レスオプション”と呼ばれる選択肢が用意されています。
レスオプションを選ぶと、本来なら標準装着の機能や装備が備わらず、多くの場合その分の費用が安くなります。
少しでも安く購入したいというユーザーにはありがたい存在ですが、レスオプションの意義はそればかりではありません。
多くのクルマで用意されているのが、オーディオ本体やスピーカーのレスオプションです。
オーディオは趣味性が高いため、標準装備のオーディオではなくこだわりのオーディオやナビゲーションシステムを装着したいというユーザーも少なくありません。
そのため、こうした需要を見据えて新車時にオーディオを装着しないレスオプションが設定されています。
なかには、最初からオーディオレスが標準仕様となっているモデルもあるほどです。
安全装備をレスオプションにする「理由」とは!?
三菱のクロスオーバーミニバン「デリカD:5」には、マイナス7万7000円(消費税込)で電動サイドステップのレスオプションが設定されています。
電動サイドステップは、車高の高いデリカD:5の後席にアクセスするには非常に便利な装備で、必需品とも思えます。
その面ではレスオプション設定の意味はなさそうですが、悪路走行が多くステップが邪魔になるケースがあるほか、社外品のステップを装着するニーズも考慮し、非装着仕様が選べるようになっているものと思われます。
レスオプションとは少し異なりますが、トヨタのハイブリッドカー「プリウス」には、標準装備の19インチタイヤ&アルミホイールを、マイナス11万2200円で17インチタイヤ&スチールホイールに変えるダウングレードオプションがあります。
購入後にすぐ社外品のアルミホイールでカスタマイズしたいユーザーにはありがたい仕様といえます。
トヨタの商用バン「プロボックス」には、4万4000円安で、予防安全装備「Toyota Safty Sense(トヨタセーフティセンス)」のレスオプションがあります。
トヨタセーフティセンスは、プリクラッシュセーフティ、レーンデパーチャーアラート、オートマチックハイビームがセットになった先進安全装備で、またこのレスオプションを選択すると、同時に先行車発進告知機能も非装着となってしまいます。
わずか4万4000円の差であれば、ケチらず装着すべき必須の機能だと筆者(くるまのニュースライター HAMATARO)は考えますが、社員の安全よりもコストを最優先する購買担当者が、世の中にはまだまだいるということなのでしょうか。
なぜこのように安全装備を省くケースがあるのでしょう。
業務用途で使われることも多い商用モデルでは、歩行者などがいない工場や工事現場の敷地内専用車として使用する場合に、予防安全機能を不要とする考え方もあるようです。
これは稀なケースといえますが、とはいえ工事現場や採石場のオフロード走行時や、除雪装置などを車両前面に装着している場合など、トヨタセーフティセンスが誤作動したり作動停止になるため、機能をOFFにする必要があります。
こうした特殊な環境下での利用は、レスオプションの車両のほうが都合が良いこともあり得ることから、幅広い用途で使われる商用車ならではの設定といえなくもありません。
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ここ数年、半導体不足や、コロナ禍の影響による部品生産の停止などが広範囲で発生したことで、クルマの生産にも大きく影響を及ぶ時期が続きました。
そうしたなか、輸入車メーカーの一部では、特定の快適装備や先進機能などを外したレスオプション仕様で生産し急場をしのぎ、国内に輸入したケースがあります。
例えば純正ナビやシートヒーター、非接触充電、LEDヘッドライト、なかには先進運転支援システムの一部機能などをレス仕様とするケースもみられました。
本来なら標準の装備が付いていないというモデルが市中に出回っているワケです。
こうしたコロナ禍に生産されたクルマの中古車を購入する際は、当然付いていると思っている装備がない個体も混じっている可能性もあるため、注意が必要といえるでしょう。