やるとクルマはヘタります! 長く乗りたいなら[やっちゃいけないこと]ワースト4!!
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ベストカーWeb より

「愛車に長く乗りたい!」と思うのは当然。しかし、正しく使わないと愛車は確実にヘタっていき、思ったよりも早く寿命を迎える。そこで今回は「あまり気にしてないだろうけど、確実にヘタリます!」なポイント。
文/山口卓也、写真/写真AC
乗用車の半数近くが不足している“タイヤの空気圧”
日本自動車タイヤ協会が2022年に東名高速道路・浜名湖サービスエリアで行った乗用車のタイヤ点検結果によると、タイヤ整備不良率1位は空気圧不足で、不良率は44%(不良項目件数/点検台数×100*空気圧は実測値)だった。
空気圧が不足すると、両ショルダー部分が偏摩耗を起こしやすくなって耐久性が著しく低下し、確実にタイヤはヘタる方向へ。
タイヤ自体のクッション性も低下するので、ボディやフレームも衝撃を受けることになってヘタる。
空気圧が不足したまま走行してタイヤが異常発熱した場合はタイヤの各層間の接着力が低下し、トレッドゴムとブレーカー、カーカスとブレーカーが剥がれる“ヒートセパレーション” が起こりやすくなる。
空気圧不足による異常変形(たわみ)が起こってもセパレーションは起こりやすくなり、高速走行時にこの状態になると大事故につながりかねないので非常に危険!
操縦安定性も低下し、もちろん燃費も低下する。日本自動車タイヤ協会によると、「適正空気圧より50kPa不足した状態で走ることは、実質4〜7円/L高いガソリンを使っているのと同じ計算」という。
最近はガソリンスタンド前が長蛇の列となっている光景をよく目にするようになったが、「タイヤの空気圧も点検してますか?」と言いたいくらいのマイナスなのだ。
愛車を傷める汚れがあるのに“洗車しない人”
洗車とは、汚れを水や洗剤で洗い流してウエスなどで水分を拭く行為。
新車時の美しい塗装面をずっと維持したいなら、大して汚れてもいないクルマに水をかけてウエスなどで塗装面をなで回して……はしないほうがいい。
塗装面に細かなキズがつく可能性もあるし、サビの原因となる水分が各部に残るおそれがあるからだ。
しかし、高速道路や郊外の道を走った後にボディに張り付く虫の死骸、ボディについた花粉の上に雨が降ってその後に固まってしまった場合などでは話は別。
虫の死骸や鳥のフンなどの生物関係の汚れは酸性やアルカリ性のものが多い。これを放置すると塗装面に侵食してシミになったり、表面が溶かされてクレーター状になったりすると取り返しがつかなくなる。
なので、虫の死骸や鳥のフン、花粉汚れなどは放置せずに“即洗い”。
その際はいきなり擦り落とさず、まずは水で十分柔らかくしてから落とすか、専用の除去剤を使用。ただし、除去剤使用後はしっかりと水で洗い流すこと。
虫の死骸や鳥のフン、花粉汚れをつきにくくしたいならプロによるコーティングやワックス施工がお薦め。これらを行うことで、防汚性や水弾き力が上がり、鳥のフンや虫の死骸も簡単に落とせるようになる。
燃費のために“A/Cスイッチオフ”はクルマもヘタるが体もヘタる
昔はクーラーをオンにすると明らかにパワーダウンを感じさせるクルマが多かった。
しかし、その後にエアコンとなり、コンプレッサーを装備することで冷気を作り出し、冷房と除湿の機能を持つように。クルマのA/Cスイッチは、このコンプレッサーをオン・オフするためのもの。
対して、温風はエンジンの熱を利用する構造のため、暖房使用時はA/Cスイッチをオフにしても除湿機能はないが温かい風は出るようになっている。
そのため、寒い冬ではオフのままの人はいる。「A/Cスイッチをオンにすると燃費が悪くなる!」という思いが強いからだろう。
しかし、現代のオートモードつきエアコンは、温度設定をするだけで風量・風の方向・湿度調整をオートで行い、さらにコンプレッサーの進化によってA/Cスイッチオンでも燃費への影響は少なくなっている。
むしろ、A/Cスイッチをオフにすることで除湿効果がなくなり、熱交換器であるエバポレーターへのカビが発生しやすくなる。
「冬はあまり感じないけど、春先にエアコンをつけるとカビ臭い……」という人は、寒い時期のA/Cスイッチオフに原因があるかもしれない。A/Cスイッチをオンにすることで除湿効果が得られ、ウィンドウの曇りも取り除いてくれるので“オン”が正解。
カビはエバポレーターについたホコリや汚れに付着して発生するので、エアコンフィルターの定期交換(年に一度程度)は必須。
暖かくなってきた春先にA/Cスイッチをオンにしたいのに、カビ臭さがひどくてオンにできないとなると、クルマより自分自身がヘタってしまう……。
A/Cスイッチオフでクルマがヘタるわけではないが、長く愛車に乗りたいならカビの発生は抑えたいし、燃費をそこまで気にするなら前述した“タイヤの空気圧”のほうを気にするべきかも……。
従来のクルマと同じではバツ! な“HV、PHEV、EVの間違った牽引法”
クルマが故障して動かなくなった時、多くの人はJAFやレッカー車を呼んで牽引し、最寄りのディーラーやクルマ屋に運んでもらうだろう。
しかし、レッカー代の心配や、近くにクルマを持った友人がいるなどで“ロープ牽引”を考える人もいるかもしれない。
実際、筆者が学生の頃にボロの愛車が動かなくなり、自車のシフトをNにしてサイドブレーキを解除し、友人にロープ牽引をしてもらったことがある。
さて、動力に少なからず電気を使うHV、PHEV、EVに搭載されているモーターは、電気をエネルギーとして回転することで動力を発生するが、逆にモーターを回転させることで発電もする。この特性を利用したのが回生ブレーキである。
タイヤが回転することで発生する運動エネルギーを電気エネルギーに変換させて“回”収し、走行時に“生”かすことから“回生”と呼ばれ、アクセルから足を離すと、発電機となったモーターは抵抗力となって減速(ブレーキ)。
と同時に、発電された電気はバッテリーへ充電され、今度はその電気を使って加速時にモーターを動かすわけだ。
となると、4輪が接地したままでの牽引法では、車輪の回転とともにモーターが回って発電し、発生した電力によってシステムにダメージを与える恐れがある。
HV、PHEV、EV取り扱い説明書には「駆動輪を持ち上げる」ほか、パーキングブレーキが電動化されていることが多く、故障時は完全に解除できないクルマもあるので「4輪とも持ち上げる」など、電気を使うクルマならではの牽引時の注意点が細かく書かれている。
というわけで、従来のガソリン車では可能だったロープ牽引では愛車を壊す可能性大アリ! HV、PHEV、EVに乗っている人は今一度、愛車の取り扱い説明書をよく読むことをお薦めする。