まさか!? 路肩の停止車両を「走行中」と錯覚? 夜間の高速道ドライブに潜む追突事故の「リスク」とは
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くるまのニュース より
特有の原因が考えられる高速道の「路肩車両との衝突事故」
2023年5月16日午後8時ごろ、宮城県栗原市の東北道下り線において、停車中の大型バスに大型トラックが追突、バスの乗客ら3名が死亡するという事故が発生しました。
バスはエンジントラブルのため、ハザードランプをつけて路肩付近に停車していた、とのこと。詳しい事故の経緯については、現在調査が進められているところですが、夜間、そして高速道路上ならではの原因がある可能性が考えられます。
今回痛ましい事故が起きてしまったのは、片側二車線の高速道路でした。
冒頭でも触れたように、追突されたバスはハザードランプを点灯させ、路肩に停車をしていましたが、追突を起こしたトラックは、車両のフロント部分全面が大破していました。
詳細な事故報告がなされていないため、以下はあくまでも筆者(くるまのニュースライター 河馬兎)の推察となりますが、多くのドライバーにとっても注意すべき点があると思われるので、ここに紹介します。
本線を走行していたトラックは、路肩に停車中のバスとオフセット衝突(本件の場合、トラックの左前方がバスの右後方に衝突)したのではなく、追突事故を起こす前より、走行車線から路肩へとはみ出して、バスの後方へフルラップ衝突(トラックのフロントとバスのリアがぴたりと合う状況)をしたことが推測されます。
なぜトラックは、走行車線からはみ出して、路肩を走行してしまったのでしょう。原因はいくつか考えられます。
まず考えられるのが、高速道路を走行中に、眠気に襲われたり、判断力や注意力が低下し、意識が遠のいてしまう「高速催眠現象」とよばれる現象です。
これは「ハイウェイ・ヒプノーシス」ともよばれます。
高速催眠現象は、景色の変化が少なく、運転操作も多くはない単調な高速道路で陥りやすく、特に夜間の高速道路は昼間と比べて視界から入る情報が極端に減ることによって発生しやすくなります。
今回の事故も、刺激の少ない夜間の走行で漫然運転となってしまい、走行車線からはみ出してしまった可能性があります。
またもうひとつの推察としては、停車中のバスが走行しているように錯覚し、吸い寄せられるようについていってしまった、という可能性もあります。
追突事故経験者への調査では、意識は覚醒しているものの、視線が一点に固まってしまい、正常な判断ができなくなってしまう、という状態に陥ってしまう事例がこれまで報告されています。
本件のトラックドライバーもこのような状態に陥ってしまい、ハザードランプに気づくことなく、停車中のバスを「動く先行車」と勘違いしてしまった結果、走行車線をはみ出して、路肩に停車中のバスに追突してしまったのかもしれません。
高速道路を運営・管理するNEXCO各社によると、近年は、高速道路上での作業者や停車中の車両と、後方から走行してきたクルマが衝突する事故が多発しているといいます。
こうした衝突事故を予防するため、西日本高速道路では、「USIMPACT(ウルトラソニックインパクト)」という装置を試験的に導入しています。
ウルトラソニックインパクトとは、走行中のクルマへ超指向性のスピーカーで超音波を発射し、居眠りや漫然運転の防止、注意喚起を促す世界初の技術とのこと。超音波が車体に当たると、車内に「ピロリン」といった電子音が発生する仕組みです。
人には聞こえない高い周波数(約20kHz以上)の超音波ですので、仮に道路上に立っていても音は聞こえないそう。道路工事や落とし物改修など、高速道路上で作業をする場合に、作業員の安全を守る方策として、期待されているようです。
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今回の事故では、バスの乗員が、バスから降りて路肩にいたことも、不幸な事故となってしまった要因となりました。
JAFは、高速道路上でエンジントラブルや事故などで車を止めなくてはならなくなった際は、ハザードランプを点灯させ、路肩に寄せて、可能な限り広い場所まで自走してほしいとしています。
そして同乗者を避難させ、三角表示板などをクルマから50m以上後方に置き、さらに後方へ発煙筒を置くこと。その後はガードレールの外側へ避難し、非常電話や携帯電話で救助依頼することを推奨しています。
万が一のトラブルの際にとるべき対応を知っておくことで、命を守れるかどうかが変わってきてしまうことも考えられます。
高速道路上では、三角表示板や発煙筒を置くとき以外は、必ずガードレールの外側へ避難するようにしてください。