ぶっちゃけ高い!! 「自動車税」っていったい何に使われているの? 滞納するとどうなる?
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ベストカーWeb より
クルマを所有しているとさまざまな税金を支払うことになる。2019年には税制が大幅に改定されていて、内容を把握するのはひと苦労。そこで、そもそも自動車税は何に使われているのか? 滞納したらどうなるのか? 節税する手段はあるのか? など、自動車にまつわる税金に関しておさらいしてみたい。
文/鈴木喜生 写真/写真AC
■自動車税は、何に使われているのか?
そもそも自動車税がスタートしたのは1968(昭和43)年のこと。当初、「自動車取得税」と呼ばれたこの税金は自動車を購入する際に徴収され、道路整備のためだけに充てられていた。
その後、1971年には田中角栄氏(当時は通商産業大臣)が提案した「自動車重量税」へと移行するが、こうした地方税はガソリン税と同様、道路整備に限定して使用されるため「道路特定財源」と呼ばれた。
やがて全国的に道路整備が整い、明らかに通行量が少ないエリアにまで道路が建設されていることが問題視されると、2005年の小泉政権の頃から道路特定財源の「一般財源化」、つまり、その財源をほかの目的にも使ってよいとする案が浮上する。
「道路整備がひと段落したなら、税金を減らせばいいじゃないか」という世の声が聞き入れられるはずもなく、2009年には当時の福田首相が道路特定財源の一般財源化を表明し、それら税金は税率を維持したまま徴収が継続されることになった。
当時はリーマンショック(2008年9月発生)の直後でもあり、世界的に景気後退が起こっていた時期。庶民においても「しかたあるまい」というムードが強かった。
しかし、2019(令和元)年に消費税率が10%に引き上げられると同税は廃止され、その代わりに「自動車税・軽自動車税」が施行されることになる。
これは「自動車がもたらすCO2排出、道路の損傷、交通事故、公害、騒音など、さまざまな社会的対処に必要な費用負担をドライバーに求めるもの」と説明されているが、蓋を開ければこれも一般財源。税金を徴収する仕組みは変わったが、その財源は地方自治体によって教育や医療をはじめとしたあらゆる公共事業に活用されている。
特定財源はそのサービスの恩恵を受ける人々が負担を分担する「受益者負担」が原則だとされていたが、今や自動車税やガソリン税を支払うドライバーは、自身が享受するサービス以上の税金を民に施しているといえるだろう。
■支払うべき税金はなんと4種類!
このように、ドライバーは自動車税を支払うことによって多大な社会貢献を果たしているわけだが、ではその税金の支払い時期はいつだろう?
自動車に関わる税金は2019年10月に大幅に改定され、「自動車税」は「自動車税種別割」へ、「軽自動車税」は「軽自動車税種別割」に名称が変更されている。
また、かつての「自動車取得税」も廃止され、新たな「環境性能割」へと移行している。その結果、クルマを所有するドライバーが支払う税金は、現在では基本的に以下の4種となっている。
■自動車税種別割・軽自動車税種別割
クルマの排気量に応じて課税される地方税。車両の登録時期や登録からからの経過年数、用途区分によって納付額が異なる。
徴収は年に1回で、毎年4月1日時点でその車両を所有している者が支払うことになる。車検証に記載された住所へ納付書が5月に送付されるので、金融機関やコンビニのほか、自治体によっては電子決済で支払う。納付期限は原則5月31日。
■自動車重量税
自動車の重量に応じて支払う税金だが、その支払いタイミングは、新規登録時には3年分、それ以降は車検時に2年分というふうに、車検の有効期間に則してまとめて納付する。検査証の交付、または車両番号の指定を受けるまでに、税額に相当する金額の「自動車重量税印紙」を納付書に貼り付けて納付する。
■環境性能割
自動車の環境性能に応じて課税され、燃費基準の達成度合いに応じて税額が決定する。
普通車の場合には、新車か中古車を問わず、取得価格の0.5~3%の幅で変動する。軽自動車の場合は2%が上限とされている。
ただし、車両価格50万円以下の車両は非課税。また、EVやPHEV、クリーンディーゼル車など、高いレベルで燃費基準を満たしている車両はその基準にかかわらず、基本的には原則非課税となる。
環境性能割は新車購入時、または名義変更など、クルマを登録した日から15日以内に納税する。納税する場所は陸運局内に隣接する自動車税事務所。県が配布する申告書に収入印紙を貼って提出する。
■消費税
車両の購入時、その車両価格に応じて支払う。
■自動車税種別割などを節税する方法は?
「自動車税種別割・軽自動車税種別割」は、クルマの排気量や車両購入時期以外にも、保有期間、用途区分など、さまざまな要因によって変動し、場合によっては減税されることもある。そこで同税を節約するためのポイントをいくつかご紹介したい。
■「グリーン化特例」を活用する
これはEV、HV(ハイブリッド)車、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCV(燃料電池車)など、環境に優しいとされる車両に適用されるもので、新車登録した翌年度分の税額が75%ほど減税される減税制度。現状、この特例が受けられるのは2026年3月31日までに登録した車両とされている。
逆に、環境に負荷がかかると判断された車両は税金が重くなる傾向にあるので注意が必要だ。例えば自動車税種別割の場合には、新規登録から13年以上が経過したガソリン車とLPG車(LPガス自動車など)には、基本納付額よりも約15%重い税金が課される。ちなみにHV車はこれに該当しない。
■購入時期を考慮する
前述したとおり、種別割は毎年4月1日時点の所有者に課されるが、軽自動車税種別割の場合、なんと年度途中に購入すれば翌年4月まで課税されない。
つまり、4月1日をやり過ごし、それ以降の早い時期に新車登録をすれば、ほぼ1年分の税金が回避できるのだ。
ただし、自動車税種別割の場合は新車登録の翌月から翌年3月末までの月割りとなるため、税金を節約できたとしても約1カ月分でしかないが……。
■新車登録をする自治体独自の制度を活用する
自治体独自の制度を活用するのも手だ。例えば東京都の場合には「ZEV 導入促進税制」という課税免除制度を採用しており、この制度ではEV、PHV、FCVなどを対象に、初回の新規登録時の自動車税種別割(月割)と、翌年度からの5年度分の自動車税種別割が減税される。
ちなみにZEVとは“Zero Emission Vehicle”の略で、排出ガスをいっさい出さないEVやFCVのことを意味する。
また、障害者手帳を所有している人の場合は、居住エリアによっては減免される可能性がある。
■自動車税種別割を滞納するとどうなる?
もし自動車税種別割の納付をしなかったら、つまり滞納してしまったらどうなるのか?
■支払いが面倒になる
手元に届いている納付書がコンビニでは受け付けられず、支払いができなくなる。この場合、納付するには各金融機関や各都道府県の税事務所などへ、わざわざ出向くことになる。
■延滞金が発生する
納付期限から1カ月以内であれば2.5%の加算で済むが、1カ月を超えると8.8%に跳ね上がるので用心してほしい。
■車検を受けられない
自動車税種別割を滞納している状態では、当然ながら車検を受けることができない。
■差し押さえが執行される
延滞金が加算された納付書が届いても支払わなければ、最終的には財産の差し押さえ通知が郵送されてきて、給与または銀行口座などの差し押さえが執行されることになる。
クルマにまつわる税制に対しては想うところがさまざまあるが、納付はドライバーの義務。であればきちんと払い、賢く節税して、気持ちよく愛車に乗り続けたいものだ。