なんかすごい効果があるのか……リアタイヤの後ろの「耳」はなんで付いているの?
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ベストカーWeb より
クルマをじっくり見ていると、時々「なんじゃこりゃ?」というような装備に出くわす。
その代表ともいえるのが、リアフェンダーのホイールアーチの縁に付いている耳みたいなでっぱり。
なんでこんなもの付いているの? その正体を調べてみた!
文/ベストカーWeb編集部、写真/AdobeStock、ベストカーWeb編集部
■保安基準のタイヤのはみ出し規程をクリアするため
まずはこのでっぱり、すべてのクルマに付いているわけじゃない。あれこれチェックしてみると、トヨタのC-HRやGRヤリス、スズキ スイフトスポーツ、日産キックス、ホンダ ヴェゼル、スバルBRZ、マツダCX-3などで確認できる。このほかルノーやBMWなど、輸入車で見つかるケースも多いようだ。
ではなぜこんなものが付いているのか? その理由だが、ほとんどのクルマに当てはまるのは、タイヤのはみ出しに関する保安基準に適合させるためだ。
具体的にはこういうことだ。自動車のタイヤは、クルマを水平に置いて真横から見たときに、タイヤのてっぺんから前方30度、後ろ50度の範囲内が車体からはみ出ていないかがチェックされる(※平成29年6月から乗用車に限り10mm未満のでっぱりは許容されるようになった)。
前輪の場合、この規定はほとんど気にしなくていいのだが、問題は後輪だ。たとえば空力的な効果を狙ってボディ後半を絞り込んだ場合、リアタイヤの後ろ側がボディから取り残されてはみ出てしまうことがあるのだ。そこでそのはみ出し収めるために車体側に出っ張りを付けて、規定をクリアしているというわけ。
ちなみに、標準よりもワイドタイヤを履いた場合も同様のことが起きる。前述したクルマでいうと、GRヤリスやスイスポが当てはまるだろう。
ベースモデルとなるヤリスやスイフトの標準タイヤならはみ出ないものを、高性能化のためワイドタイヤを履かせた結果、タイヤがはみ出し気味になったので「耳」が付いた次第。実際ノーマルのヤリスやスイフトにこの「耳」はない。
■なんとリヤアーチフィンという後付けの「耳」があった!
ということで万事解決といきたいところなのだが、スバルBRZなどはちょっと見解が異なるようだ。
そもそもBRZは初代のZC6型に、リアフェンダーの「耳」が後付けできる「リヤアーチフィン」という純正パーツを用意していた。
これについてスバルは「走行時、アーチフィンが車両側面の空気の流れとタイヤ周りの乱れた風を分断し整流することで、風の乱れによる車体を揺らす力の発生を抑制しました。
これにより、低中速走行時の車線変更や高速走行時のコーナリングで、コントロール性の高いハンドリング性能を実現しました」と説明している。
実際、スバルはこいつの効果を確認できたようで、2代目BRZとなるZD8型ではフィンを標準化し、よりスムーズにボディと一体化させてきた(当然GR86も)。つまりここではタイヤの「耳」が、車体のエアロダイナミクス向上に貢献するパーツとして活かされているというわけだ。
というわけで、リアフェンダーにあるなぞの出っ張りの謎は解けただろうか。もともと法規を満たすためのやむを得ない装備と思われたが、空力的効果まで発見されるとは素晴らしい。
ちなみにチューニングの世界では、BRZのリヤアーチフィンがいろんなクルマに流用されているらしい。気になったら試してみてもいいのかも?