なぜ「自動速度取締設置路線」の看板が? ただの親切!? 驚きの理由と最新オービス対策
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(オービス)が設置されています。でもなぜ、取締りをしようとしているのに、事前に提示しているのでしょうか? この看板がなければもっと摘発できるはずなのに……。本企画では看板の意味からオービスの仕組み、最新の取り締まり動向や便利な対策アプリまで、クルマ好きなら知っておきたい情報を徹底解説します。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock、写真AC(トビラ写真)
「警告」の看板はなぜ必要? そこにある法的・運用的背景
高速道路や幹線道路を走っていると目にする「自動速度取締設置路線」の看板。「そんな看板、むしろなければたくさん摘発できるのでは?」と思ったことがあるドライバーも多いはずです。
実はこの看板、ただの“親切”ではありません。れっきとした法的・倫理的配慮によって設置されているのです。
そもそも「オービス(速度違反自動取締装置)」は、ドライバーとナンバープレートを無断で撮影するシステム。昭和61年(1986年)の最高裁判決で「犯罪の証拠保全として必要」という理由から、憲法13条(肖像権・プライバシー権)違反ではないとされましたが、依然として“無断撮影”であることには変わりありません。
このため、事前に「ここには自動速度取締装置があります」と看板で知らせることで、運転者に警告しつつ、後々のトラブルを未然に防いでいるのです。いわば、「透明性」と「納得感」を確保するための措置というわけです。
可搬式オービスの登場で警告スタイルが変わる?
従来の固定式オービスに加えて、近年では持ち運び可能な「可搬式オービス(移動式)」が急速に普及しています。こちらは突発的に設置されることが多く、看板を立てるのが難しいという問題があります。
そのため、多くの県警ではホームページやSNSを通じて「この地域で可搬式オービスを使います」と事前に公表しています。たとえば東京都や神奈川県警は、公式サイト上で実施エリアを毎月更新。X(旧Twitter)での告知も活用されています。
これは、プライバシーへの配慮と同時に、交通安全意識を高めるという二重の目的があるのです。
警視庁公開取締り情報公式サイト
神奈川県警察本部交通部交通指導課の公式アカウント
安くても1000万円以上! オービスって実は“超高額機材”だった!
このような速度取締装置、実は設置にも運用にも莫大な費用がかかっています。
警察庁の資料によると──
●可搬式オービス:約1000万〜2000万円
●半可搬式:2000万円前後
●固定式:約3000万円(工事費別)
さらに、固定式の場合は設置工事費が約600万円と見積もられており、総額で1基あたり3600万円以上にもなる可能性があります。
なぜここまで巨額のコストをかけて速度取締を行うのか。その理由は、単純明快です。
神奈川県警のデータによれば、車両速度が30km/hを超えると死亡事故率が急激に上昇するとのこと。速度違反の抑止は、命を守るための重要な対策なのです。
ドライバーの“防衛術” 最新アプリでスマートに警戒
「いきなりオービスでドキッとした!」という経験、誰しも一度はあるかもしれません。そんな不安を減らしてくれるのが、オービス警告機能を備えたスマホアプリです。
以下は代表的なオービス対応アプリ:
●オービスガイド(有料版あり)
●Yahoo!カーナビ(無料)
●ナビロー
これらのアプリは、GPSを使って現在地とオービス設置地点を照合し、近づくと警告を出してくれます。一部では、ユーザーが通報する“クラウド型警告システム”を採用しており、情報の更新も迅速。
ただし、移動式オービスには完全対応しきれないこともあるため、過信は禁物。アプリは“運転補助”と考え、あくまで安全運転が基本です。
まとめ
「なぜ警告するのか」「どこにあるのか」「どんな種類があるのか」──これらを知っておくだけでも、無用なトラブルや違反を避けることができます。
そして、それは“取り締まられないため”だけではなく、事故を未然に防ぎ、自分や大切な人の命を守るための大切な知識でもあるのです。
「速度を出しすぎない」というシンプルなことが、最も効果的な事故防止策であるという事実を、私たちは改めて認識するべきかもしれません。