このままじゃ家計が燃える! ガソリン出費を減らす9の極意
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ベストカーWeb より

安くするにはアプリをフル活用
暫定税率はなくならず、トリガー条項も凍結したまま、補助金が出てもまだまだ高い、ガソリン価格。ととにかくクルマに乗る人々にとっては非常に厳しい状況が続いている。そこで、ガソリンを割安に買う方法を紹介する。組み合わせながら活用すれば、何も考えずに給油するよりはるかに節約できるはずだ。
文/鈴木喜生、写真/写真AC、Adobe Stock
ガソリンを安く入れる方法はさまざまある。専用アプリや会員カード、提携カードやクーポンなどの使用のほか、各企業やスタンドが定期的に行うキャンペーンなどなど。これらのサービスを確実に使えば、1回の給油あたり数%、年間では数万円以上の節約になるはずだ。
1.「価格比較アプリ」を活用する
ガソリン価格を比較できるアプリやサイトを活用して、近隣で最安値のスタンドを選べる方法。人気サイト「gogo.gs」(無料)ではスタンドごとの価格差をリアルタイムで知ることができ、全国やエリアごとの平均価格も確認できる。
2.各社の「公式アプリ」を登録する
「ENEOSアプリ」「コスモ石油アプリ」「Drive On(出光)」「宇佐美アプリ」など、各社が運用する専用アプリに登録すれば、さまざまな特典を受けることができる。
クーポン配信、ポイントサービス、モバイル決済などの機能を持つものが多い。アプリは各社のウェブサイトやアプリストアからダウンロードする。
3.「会員カード」や「ポイントカード」を利用する
ガソリンスタンドが発行する「ENEOSカード」や「Shell Starlexカード」などの会員カードや、「Tポイント」や「楽天ポイント」などの提携ポイントカードが使えるGSなどを活用し、割引やポイント還元を確実に受け取る。
クルマやカードを社内や家族で共有する場合は、これを徹底することでトータルの割引率が大きく変わるだろう。ただし、公式アプリやクーポンなどとサービスが重複する場合などは併用できない場合が多いので注意したい。
4.「クレジットカード」でキャッシュバック
「楽天カード」「dカード」などの一部のクレジットカードでは、提携するGSでの支払いに使用するとキャッシュバックやポイント還元サービスなどが受けられ、1リットル当たり2円前後安くなるケースもある。
5.「キャンペーン」や「クーポン」を利用
各社が提供するキャンペーンやクーポンを地道に活用すれば、結果的に大きな節約になるだろう。
その内容は給油タイミングや給油量に応じた割引から、洗車、オイル交換、カー用品までさまざま。不定期かつ期間限定で行われることが多いが、公式アプリやサイト、店舗などで情報収集したい。
6.「コストコ」や「大型スーパー」のGSを利用
「コストコ」や「カインズ」など、一部の大型スーパーが経営するガソリンスタンドでは、ガソリンや軽油を会員向けに安く販売している。
ちなみに、コストコの場合は地域の平均価格よりも1リットル当たり20円前後安いこともあるようだ。
7.「平日」に給油する
ガソリン価格は週末や祝日に上がる傾向があるため、平日に給油すると数円安くなる場合が多い。
とくに月曜や火曜などの週明けが狙い目。店舗によっては早朝や深夜に割引を行うところもある。
8.「セルフスタンド」を選択する
セルフサービスのGSは人件費が抑えられることから、フルサービスの店舗よりも1リットル当たり1~3円安くなる傾向にある。
9.法人の場合は「共同購入」
小規模事業者の場合は、燃料を共同購入するという手もある。
ガソリンなどの共同購入は、それぞれの地域の各種組合が運営するケースが多いのでウェブなどで調べてみたい。組合で大量購入するため比較的安く購入できる。ただし、加入条件が設けられている場合が多い。
1リットル当たり72円は税金!?
昨今ではガソリンにおける暫定税率が問題視されているが、そもそもガソリン価格の内訳はどのようになっているのか?
ガソリン価格にかけられる税金は、本来は「ガソリン税」「石油石炭税」「消費税」の3つ。ただし、ガソリン税に「暫定税率」が上乗せされたことにより、ガソリン税は「本則税率」と「暫定税率」の2つから構成されることになった。
また、2012年からは、「石油石炭税」に「温暖化対策税」が上乗せされている。
これらの税額は、ガソリンの市場価格にかかわらず常に定額とされる。1リットル当たりの税額はそれぞれガソリン税(本則税率) が28.7円、ガソリン税(暫定税率) が25.1円、石油石炭税+温暖化対策税 が2.8円であり、その合計は72円となる。
ガソリンの原価が98円だとすれば、そこに72円の税金が乗る結果、我々は1リットルのガソリンを155円で買えてもおかしくない。
しかし、この税金の塊のようなガソリンに、さらに10%の消費税をコーティングしているのが現在のガソリン価格だ。その結果、小売価格は170円となり、そのうち42%が税金となる。
ちなみに、ガソリン税の本則税率(28.7円)と暫定税率(25.1円)を足すと53.8円になるが、そのうち48.6円(90.3%)は「揮発油税」として国に納付され、5.2円(9.7%)は「地方揮発油税」として地方自治体に納付されている。
また、経由の場合はガソリン税に相当するものを「軽油引取税」と言うが、ここにもやはり暫定税率がかけられている。
ただし、本則税率と暫定税率からなる軽油引取税には消費税がかからず、この点においてガソリンの税制と違いが見られる。
問題だらけのガソリン税
ガソリン価格の高止まりが続くなか、経済産業省は2025年5月21日、物価高対策としてガソリンの定額補助の支給額を1リットル当たり7.4円にすると発表し、翌22日から開始された。
ただし、この補助金は石油元売り各社に支給されるため、小売価格に反映されるまでには2、3週間ほどかかるだろう。原油価格の変動分も補助金で補いながら段階的に市場価格を下げ、結果的には小売価格を10円(支給上限)まで下げるという。
10円でも安くなるのはありがたい。ただし、この補助制度が7月の参院選を意識した時限的な措置だという感もぬぐえない。そもそもガソリン税のあり方については長年にわたってさまざまな問題が指摘されている。
税金に税金をかける二重課税は、経済の活力を損ない、税制の公正さを欠く点で問題とされている。
ただし、日本だけでなくフランス、イギリス、イタリアなどにおいても二重課税が行われており、日本の消費税にあたる「付加価値税」(VAT)がかけられている。
フランスでは2018年、マクロン政権が燃料に対する二重課税に加え、そこに含まれる環境税を増税したことでガソリン価格が急騰。特に地方の低中所得層や、クルマの利用率が高い人々の生活が圧迫された結果、「黄色いベスト運動」と呼ばれるストや暴動にまで発展している。
トリガー条項の凍結のも問題視されている。
トリガー条項とは、ガソリン価格が一定期間高騰した場合に、暫定税率を一時的に免除する仕組み。ガソリンの全国平均小売価格が3カ月連続で160円を超えた場合に暫定税率が免除され、3カ月連続で130円を下回れば解除される。
2010年度に導入されたものの、2011年に発生した東日本大震災の復興財源確保を理由に凍結され、現在に至るまで一度も発動されていない。
ガソリン税における暫定税率がスタートしたのは1974年。
ときの首相は「日本列島改造論」を標榜する田中角栄。「暫定」であるにもかかわらず半世紀以上続いていることに全国民から総突っ込みを受けているが、現政権においてもこの財源に固執している。
2024年12月には自民、公明、国民民主の3党が暫定税率の廃止に合意したが、後日、自民党が一方的にこれを反故にした。
また、ガソリン税は2009年度以降、道路整備に限定して活用される「道路特定財源」から「一般財源」に変更されているが、道路を使用する人が支払う税金は、道路の保全のために使用されるべきという「受益者負担の原則」から外れるとの指摘も多い。
ガソリン価格の高騰や上乗せ課税は経済活動の支障になるだけでなく、あらゆる物流コストを押し上げる。停滞したままの日本経済を盛り返すためにも、ぜひ現行の法律を見直してほしいものだ。