おじさんは電動パーキングブレーキにいまだ慣れない! なんで手動サイドブレーキじゃだめなのか?
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ベストカーWeb より
ふだん何気なく使っている手動式サイドブレーキだが、最近ではスイッチひとつで作動・解除する電動パーキングブレーキが増えてきた。なぜ昔ながらのサイドブレーキではダメなのだろうか?
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(タイトル写真:Adobe Stock@nakedking)
■引き上げる手動式のサイドブレーキじゃなぜダメなのか?
最近ではスイッチ一つで作動/解除する電動パーキングブレーキが増えてきた。なぜ電動パーキングブレーキが増えてきたのか?
手動式サイドブレーキは、引けばかかり、ノブを押しながら一瞬引き上げて解除する。外から見てもサイドブレーキがかかっているかわかるのもいいところ。ただ緩めにサイドブレーキを引くとそのまま走り出してしまうという、うっかりミスもある。
サイドブレーキに慣れきった50代以上のおじさん代表として言わせてもらえば、スイッチを押すのか引くのか一度覚えても、時々わからなくなるので、いまいち慣れない。
サイドブレーキはそもそも後輪が固定力の強いドラムブレーキだったクルマが多く、フットブレーキの液圧とは異なるワイヤーでドラムブレーキを作動させて、駐車時にクルマを固定するためのものだ。
この手動式サイドブレーキのほか、足踏み式で解除はダッシュ下のノブを引くタイプもある。
そもそも電動パーキングブレーキは、車速やシフトノブ位置、シートベルトの状態といった情報を通信して、動作を決定している。
最近では、Dレンジでアクセルを踏むと自動的に電動パーキングブレーキを解除したり、エンジンオフで電動パーキングブレーキが自動的にかかるクルマも増えてきた。
■なぜ電動パーキングブレーキを設定するクルマが多いのか
サイドブレーキは手でレバーを引っ張ったり、足でペダルを踏んだりすることで作動させるが、特に手で引っ張るサイドブレーキは力を入れて引っ張る必要があるうえに、引きすぎるとワイヤーが伸びてしまう。
手動式サイドブレーキは2、3ノッチ引けば充分きくのだが、勢いよく引いてしまう人もいる。そうなると、ワイヤーが伸び続け、引いても効かなくなってしまい、ついには切れてしまうこともある。怖いのはサイドブレーキを解除し忘れて走るとブレーキが焼き付いてしまうこと。
電動パーキングブレーキは、そうしたサイドブレーキが抱えてきた問題点を解決しているのだ。
■電動パーキングブレーキのメリットとは
電動パーキングブレーキは、従来のサイドブレーキのワイヤーを電動モーターで巻き取るタイプと、ディスクブレーキのキャリパーに直接モーターを組み込みモーターでキャリパーピストンを駆動させてパーキングブレーキとしている2つのタイプがあるが、現在では後者が圧倒的に多くなってきている。
電動パーキングブレーキのメリットとしては、スイッチ1つで操作できるので、力がいらないことと、スイッチのレイアウトの自由度が高いこと。
また作動させたまま走行してしまっても警告などが出るため、戻し忘れたまま走り続けるようなことはまずないし、最近はDレンジでアクセルを踏むと自動的に解除してくれる車種も増えてきた。
Pレンジに入れるだけでパーキングブレーキを作動させたり、前述のようにブレーキペダルを踏んだ状態でDレンジにシフトするとパーキングブレーキを解除し、さらに道路が傾斜していれば、坂道発進などでズルズル下がらないようにヒルホールドが作動するクルマもある。
■オートブレーキホールドもメリットの1つ
最近、電動パーキングブレーキを装備したクルマが増えている。この電動パーキングブレーキ装着車のメリットとして、オートブレーキホールド機能が付いていることも挙げられる。この機能は、信号待ちの間などの停止中にブレーキペダルから足を離しても、そのまま停止し続けてくれる非常に便利な機能。
しかし、オートブレーキホールドは微妙だなと思う時がある。渋滞時のノロノロ運転や交差点内で右折待ちをしている時など、じわじわとクリープ走行をして前走車についていきたい場合は、車両が停止するたびにオートブレーキホールドが入ってしまうと、再発進するまでにわずかに遅れてしまう時があるのだ。
オートブレーキホールドを設定しているメーカーの代表的なモデルをあげると、カローラ、RAV4、フィット、N-BOX、N-WGN、デイズ、ルークス、CX-30、マツダ3、アウトランダー、デリカD:5、レヴォーグ、フォレスターなど約50車種以上となっている。
■電動パーキングのデメリット
電動パーキング装着車を運転していると、「これだとスピンターンができない」と50代以上のおじさんはそう思ったはずだ。そう、電動ブレーキだと、スピンターンができないのだ。
スピンターンとは、おじさんたちは知っているが、知らない人のために説明しておくと、走行中に前輪に荷重を移すと同時にステアリングを切り、旋回モーメントが立ち上がったところでサイドブレーキを引いてリアタイヤをブレークさせ、一気にクルマの向きを変えるというもの。
ジムカーナの180度ターンや360度ターンで使われるドラテク。降雪地帯ではステアリングが効かなくなった時に、サイドブレーキで向きを変えてコントロールすることもある。
しかし、電動パーキングブレーキでは、車速が0㎞/hの状態でなければ作動しないため、スピンターンができないのだ。
スイッチを作動させても警告音が出てキャンセルされるだけ、というクルマもある。最近は長押しすることで作動できる車種もあるが、この場合はワイヤーを手動で引くのとは異なり、かなり遅れて作動するので思うようにコントロールするのは難しい。
BMWは走行中に長押しなどの操作をすると、ドライバーが急に体調不良となり助手席の乗員(エアバッグ用にシートにもセンサーがあり乗車の有無が判別できる)が操作したと判断すれば、緊急ブレーキとして四輪のブレーキを作動させるようだ。これは前述のEBSとEPBが連携しているからこそ、実現できる制御だろう。
現時点でスピンターンが可能な電動パーキングを採用しているのが確認できたのはポルシェだけ。これもデフォルトの状態ではキャンセルされるが、スポーツモードを選んだ時には走行中でも電動パーキングブレーキが使え、スイッチを作動させれば即座に制動力が立ち上がるので、スピンターンも可能になっている。
今後は、ACCや安全装備がますます増えていくから、手動式サイドブレーキもなくなっていく運命にあるだろう。
引用元:https://bestcarweb.jp/feature/column/623151