いまのクルマが安全なのはディアマンテ・シーマ・インスパイアのおかげ! 現在のADASに繋がる世界初の装備を採用した偉大な日本車3台
口コミを書く
口コミを見る
WEB CARTOP より

3つの先進運転支援機能はいずれも日本車が世界初だった
思えば、筆者が自動運転レベル(SAEによる分類)に関する記事を書いたのは約10年前で、そのころは世界中の自動車メーカーが自動運転レベル2を目指すといった段階だった。いまや無人運転の実用化に向けた社会実験が進んでいることはご存知の通りで、まさに日進月歩で技術革新は進んでいる。
個人が所有するような乗用車においても、自動運転レベル2の機能を満たす先進運転支援システム(ADAS)が備わっていることは当たり前となっている。それも高級車に限定された機能ではなく、軽自動車にもADASが標準装備となっている。
自動運転レベル2相当のADASに備わっている機能といえば、先行車両と適切な車間距離を維持して追従するACC(アダプティブクルーズコントロール)や、車線中央維持を行うLKAS(レーンキーピングアシスタントシステム)となる。これらに、前方を検知して減速する衝突被害軽減ブレーキ(AEBS・アドバンスドエマージェンシーブレーキシステム)を加えた3つの機能がADAS三種の神器といえるだろう。
そして驚くなかれ、この3つの機能を世界で初めて市販車に搭載したのは、いずれも日本の自動車メーカーだった。ADASのルーツは日本生まれだったともいえる。
先人の知恵と工夫に敬意を表し、それぞれ誕生の古い順に紹介していこう。
上記3つのADAS機能のうち、もっとも古いのはACCで、なんと1995年に誕生している。世界初搭載したのは、同年1月にフルモデルチェンジを果たした三菱ディアマンテ(2代目)で、オリジナルの機能名は「プレビューディスタンスコントロール」となっていた。
カメラとレーダーを併用するというシステム構成は現在のADASに通じるものであり、レーダーによって先行車との相対速度を計測、適切な車間距離を維持するという機能がオプション設定されていた。
ただし、ディアマンテは車速のコントロールにエンジン出力とシフト制御を用いる方式だった。現在のACCのように減速にブレーキ制御を利用しておらず、エンジンブレーキの減速で対応できないときにはドライバーにブレーキ操作を促すシステムとなっていたが、レーダーによる計測と車両側の速度調整という機能については、ACCのルーツといえる。
シーマやインスパイアなど上級セダンから搭載
つづいて、実用化されたのはLKASだった。2001年1月にフルモデルチェンジした日産シーマ(4代目)に世界初の「レーンキープサポートシステム」が搭載されたのだ。現在のLKASと同様、カメラにより車線を検出、車線に沿って走るようステアリング操作を支援するという機能だった。
当時は横風などの外乱によるドライバーの疲労を軽減するものとして開発されていたため、同システムが機能するのは基本的に直進時で、カーブに入ると徐々にステアリングのアシスト力を減らして、最終的にはドライバーに委ねるようになっていたが、基本的にはLKASのルーツといって差し支えないだろう。
最後に紹介するのはAEBSのルーツ。それが2003年6月に発売されたホンダ・インスパイア(4代目)に世界で初めて備わった「CMS」である。なお、CMSというアルファベットは「コリジョンミティゲーションブレーキシステム」の略称であり、現在では「CMBS」と表記されるようになっている。
ミリ波レーダーで前方車両を監視、衝突(追突)の可能性を検出すると、ブザーやディスプレイ表示で警報を行い、それでもドライバーが反応しない場合は軽いブレーキングと「E-プリテンショナー(シートベルトの引き込み)」によって危険を知らせる。それでも回避が困難とシステムが判断した際には、車両側でブレーキをかけ衝突被害を軽減するというシステムであり、まさに現在のAEBSと同等の機能を実現していた。
ただし、現在では歩行者を検知する能力はAEBSにおいて必須であり、そのためにセンサーとしてはカメラを使うことが主流となっている点で、当時の違いを感じるが……。
こうやって振り返ると、自動運転レベル2につながる技術の誕生と普及までには十年単位の時間が必要だったこともわかる。冒頭で無人運転の実験が進んでいることに触れたが、ドライバー不要の乗用車が普及するにも、それなりの時間がかかることになるのだろうか。