いきなり使える? パンク修理材の使い方とデメリット
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ベストカーWeb より
クルマのタイヤがパンクしたときの備えとして、スペアタイヤではなく、パンク修理キットを搭載するクルマが増えています。
しかしながら、その使用方法などを教わる機会はなく、正しく使用できるのか不安を覚える人は少なくないそう。
使用方法だけでなく、パンク箇所の大きさやタイヤに刺さってしまった異物の種類など、どのようなパンクの状況で修理キットが有効に使えるのかも、知っておきたいところです。
この「誰でも応急修理することができるのか」と「どのようなパンクで修理キットは有効に応急処置ができるのか」の2点について、JAFが検証を実施。その結果をご紹介するとともに、修理キットのメリットとデメリットについても触れていきます。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_ThamKC
写真:Adobe Stock、写真AC、JAF
初めて使用する人でも17分程度で応急修理ができた
「パンク修理キット」は、クルマによって異なりますが、荷室床下や荷室側面、助手席や2列目シートの下などに格納されており、説明書と補修材、コンプレッサー、注入ホースなどがセットになっています。補修材は、加硫接着剤という有機溶剤系の成分でできており、タイヤに注入すると、加硫接着剤がタイヤのゴムを少し溶かし、その溶けたゴムが入り込んで穴を塞いでくれる(化学結合により接着する)という仕組みです。
このパンク修理キットを使って、「誰でも(パンクを)応急修理できるのか」というJAFの検証に参加したモニターは、ペーパードライバー(女性)、クルマの運転が趣味のドライバー(女性)、クルマの知識が豊富なドライバー(男性)の3名。4mmの釘が刺さってパンクしたタイヤの応急修理を行い、応急修理後に約5kmを走行したあと、再び空気圧を調べて、応急修理ができている(空気抜けがない)ことを確認するまでの時間を計測しました。
その結果、3名がパンク応急修理キットで応急修理にかかった時間は、およそ13分~17分。5km走行を含む応急修理完了までの時間はおよそ27分~38分でした。ペーパードライバーの人も、取扱説明書を見ながらであれば、作業中断や応急修理に失敗することはなく、無事に作業完了させることができたそう。クルマの知識が豊富な人は、かかった時間が最も短かったものの、補修液を空気入れにセットする際に接続不良で補修液が漏れることがあったなど、作業ミスを起こすこともあったそうです。ただ、モニターの中には、「外出先で作業をするのは不安」という声もあったそうです。
異物は抜いてしまうと応急修理ができなくなる
また、「どのようなパンクで修理キットは有効に応急処置ができるのか」については、刺さった異物の大きさや種類の違いなど、さまざまな条件でパンクした状態のタイヤを8種類用意し、それぞれパンク修理キットでどこまで応急修理できるのかを検証。
その結果、太さ4mmの釘や、太さ6mmのネジ、8mmのボルトでも、刺さった状態であれば、修理剤で応急修理ができたそう。
ただ、これら異物を抜いてしまうと、補修液が漏れ出てしまい、応急修理ができなかったケースもありました。通常、パンク修理キットの取り扱い説明書には、4mm以上の傷は応急修理できないとされていますが、今回のテストでは、4mm以上の傷であっても応急修理することができました。
また、大きな金属片によって、トレッド面が大きく破けた傷の場合も、充填中に補修液が漏れだしてしまい、修理不可能でした。
本格修理が難しくなる点はデメリット
このように、パンク修理キットでの応急修理は、初めてパンク修理キットを使用する人であっても、応急修理できる内容となっています。
従来のスペアタイヤへの交換のように力を必要とする作業がない点は、パンク修理キットのメリットといえるでしょう。
ただ、今回のJAFの検証でもわかるように、パンク修理キットで応急処置が出来るのは、タイヤが地面と接地するトレッド面に小さな穴が空いた場合のみ。
また、きちんと応急修理できていても、パンク応急修理キットでの応急処置後は、タイヤに傷が入っている状態であるため、スピードを上げ過ぎると再びパンクするリスクがあります。
あくまで応急処置であることを頭に入れ、早急にガソリンスタンドや最寄りのディーラー、修理工場などへクルマを持っていくことが重要です。
パンクしたタイヤであっても、パンク修理キットで応急修理できる程度の穴であれば、タイヤショップなどに持ち込めば内面パッチ等で修理することは可能ですが、一度パンク修理キットで応急修理したタイヤは、タイヤホイールの内側に付着した液剤を洗浄する必要があることで、手間やコストがかかってしまうことから、内面パッチ等による本格修理が難しくなります。
この点は、パンク修理キットのデメリットといえます。
パンクした直後は動揺したり、不安になっていたりで、作業や判断を間違えてしまうこともありえます。
路上での作業となるため、何より安全を確保しながら、落ち着いて作業するようにしてください。
こうしたトラブルを防ぐには、日頃の点検も大切。クルマに乗る前にちょっとタイヤの状態を確認することを意識してみてください。