「車検切れで交通事故」どうなる? 車検と自賠責の両方に注意! どんな罰則となるのか
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くるまのニュース より
「車検切れで交通事故」どうなる?
先日、人気声優の男性が車検切れの車両を運転中に交通事故を起こしたと報じられました。
ではこのような場合、ドライバーにはどのような処分があるのでしょうか。
2023年11月20日、声優が車検切れの車両で交通事故を起こしたことを所属事務所が発表しました。
報道内容によると、この声優は都内を走行していた際、停車中のバスに左後方から追突し、現場聴取の中で車検の更新手続きを失念していたことに気づいたようです。
こうした車検切れの車両による事故は全国でたびたび発生していますが、車検切れのクルマで事故を起こしてしまった場合、ドライバーにはどのような処分があるのでしょうか。
そもそも車検はクルマの安全性や公害防止のため、保安基準に適合しているかどうかを検査するものです。
自家用乗用車であれば新車登録から初回の検査が3年間、それ以降は2年ごとに車検を受けなければいけません。
もし車検切れの状態で公道を走行(無車検運行)すると、道路運送車両法第58条に違反する行為として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される可能性があります。
また違反点数として6点が加算されるため、これまでに行政処分歴のないドライバーであっても30日の免許停止処分となります。
さらに、クルマを運転する際には自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の期限にも注意する必要があります。
自賠責保険は原動機付自転車を含むすべてのクルマが加入を義務付けられた強制保険であり、期限切れの状態で運転をしてはいけません。
そのため、自賠責保険の期限が切れたままクルマを運転すると自動車損害賠償保障法第5条の違反となり、罰則として1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
こちらも違反点数が6点であり、行政処分歴がなければ30日の免許停止処分となります。
そして車検切れと自賠責保険切れの両方に該当すれば、1年6か月以下の懲役または80万円以下の罰金と、より重い刑罰が科せられます。
また、道路交通法施行令の規定により2つの違反をした場合には違反点数の高い方(同じ点数のときはその点数)が加算されるため、この場合の違反点数は6点です。
一般的に自賠責保険の期限は車検期限の1か月程度後に設定されており、車検が切れていると自賠責保険も切れているというケースが多くなっています。
交通事故の補償はどうなる? 自賠責の補償対象とは
ここで気になるのは、交通事故の補償がどのようにされるかという点です。
自賠責保険はケガや死亡などの人身事故による補償をおこなう保険であり、物損事故は対象になりません。
つまり自賠責保険切れの状態で事故をして相手にケガをさせた場合、本来自賠責保険でカバーされる部分の補償はドライバー自身で負担する必要があります。
自賠責保険金の支払い限度額は傷害(ケガ)の場合で120万円、死亡の場合で3000万円などと決められており、事故の程度によってはドライバーの負担額も高額になることが想定されます。
これに対し「自賠責保険が切れていても任意保険でカバーできるのでは?」という疑問も聞かれます。
しかし、任意保険はあくまで自賠責保険でまかなえない部分をカバーするものであるため、自賠責保険の補償を超える部分しか支払われません。
仮にケガをした被害者の治療費が300万円であれば、自賠責保険分の120万円をドライバーが自己負担し、残りの180万円を任意保険から支払うことになるでしょう。
※ ※ ※
クルマの車検切れ、自賠責保険切れを防止するためには車検証や自賠責保険証明書を点検したり、フロントガラスの車検ステッカーを定期的に確認することが大切です。
また、過去に車検を受けた自動車整備業者から車検の更新通知が届くケースもあるため、郵便物のチェックや住所変更を忘れずにしておきましょう。