「知らないなら“免許返納”を…」 道路にある「謎の斜線ゾーン」どんな意味? 停車したら違反じゃないの? 元警察官が解説
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くるまのニュース より
「ここに停めるドライバー多すぎ」SNS上ではあきれる声も…
消防署や警察署の出入口付近には、道路上に斜線の入った長方形の道路標示があります。
たびたび見られるこの「斜線ゾーン」ですが、一体どのような意味があるのでしょうか。
道路上にはセンターラインや停止線、安全地帯を示す長方形など、さまざまな道路標示があります。
たとえば「ひし形マーク」は、その先に横断歩道または自転車横断帯があることを示す道路標示で、ドライバーに歩行者や自転車への注意喚起をうながすものです。
運転中は道路標識に加え、この道路標示をしっかり確認すると事故や交通違反の防止に役立ちます。
特に消防署や警察署の出入口付近で見られる、白線の長方形に斜線が入ったようなデザインの道路標示も非常に重要なものですが、一体どのような意味を持っているのでしょうか。
実はこの道路標示は「停止禁止部分」を意味し、クルマやバイクなどの車両が停止してはいけない場所をあらわしています。
なお、警察庁が公表している「交通規制基準」によると、原則として次の条件に該当する道路に停止禁止部分の標示が設置されます。
1 緊急自動車の出入口付近またはバスターミナルの出入口付近の道路で、信号待ち車列等により、緊急自動車の出動等や路線バスの正常な運行に支障がある道路の部分
2 バス停留所付近での路線バスの円滑な運行を確保するため、特に必要な部分
3 交通整理のおこなわれていない交差点で、滞留車両による交通障害のため交差道路の安全で円滑な交通に著しい支障がある交差点内の部分
4 滞留車両が踏切まで及ぶため踏切付近の安全空間を確保するなど、特に必要があると認める道路の部分
1は主に消防署や警察署などの出入口付近を停止禁止にすることで、消防車や救急車、パトカーといった緊急自動車がスムーズに出動できるようにする仕組みです。
また2に関してはバス停近くの道路に停止禁止部分を設けてスペースを空け、路線バスが発進する際に他の車線へ合流しやすくするものです。
3は信号機のない交差点などで交差点内に車両を滞留させないため。
また4は車両が踏切内に進入して列車と接触しないよう、それぞれ停止禁止部分の標示を設置するものです。
停止禁止部分の内側に「謎の文字が…」 何を表すのか?
ちなみに停止禁止部分の内側には「消防車出入口」や「救急車出入口」などと明記されているケースも。
バス停付近にある標示の場合はバスが通行できるよう「バスを除く」と書かれていることもあります。
もし信号待ちなどで停止禁止部分の上に停車してしまうと、緊急自動車の出動やバスの発進などを妨げてしまいます。
そのような状況を踏まえ、道路交通法第50条第2項では次のとおり停止禁止部分への進入を禁止しています。
「車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、横断歩道、自転車横断帯、踏切または道路標示によって区画された部分に入った場合においてはその部分で停止することとなるおそれがあるときは、これらの部分に入ってはならない。」
この規定により、停止禁止部分に停車すると「交差点等進入禁止違反」に該当し、検挙されれば違反点数1点、普通車で反則金6000円が科せられます。
停止禁止部分に関してはSNS上において「消防署とか警察署の前にある停止禁止部分に停まるドライバー多すぎ」「停止禁止部分を空けていたら車線変更で入ってくる奴は何なの?」、さらには「知らないなら免許返納してほしい」といった不満の声が多く聞かれました。
加えて「警察署の前の斜線ゾーンを空けて停まっていたら後ろからクラクション鳴らされた」という体験談も複数寄せられ、きちんと交通ルールを守っているのに後続車からクラクションを鳴らされてしまうケースもあるようです。
※ ※ ※
SNS上では「停止禁止部分」を、車両の走行を誘導するための「導流帯(通称:ゼブラゾーン)」と混同するドライバーも散見されました。
導流帯は車両の通行・停止の両方が可能、停止禁止部分も通行は可能であるものの、停止が禁止されているという点で異なります。