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「目的地周辺です」ってこの先が知りたいのよ! 昔のカーナビが目的地近くで案内を終了していた謎!!
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WEB CARTOP より

最後まで案内をしてくれないナゾ


 いまのカーナビやスマホの地図アプリは、目的地の前までしっかり案内してくれるものが基本になっています。

 でも少し前のカーナビでは、目的地の「周辺」まで来たところで案内を終わらせるものが多くありました。実際にXなどSNSでの投稿やTV等メディアの出演者から、「仕事を途中で放棄された気分だ!」といった感じで不満を漏らすシーンも見られるので、この問題に納得がいかないという人が一定数いる印象もあります。

 ここでは、ひと昔前のカーナビがどうしてそんな仕様になっていたのかにスポットを当てて、その理由について考えてみましょう。
■「周辺」で案内終了が実際にあったのか?

 いまではドライブの目的地案内はスマホの「Google Maps」に代表されるアプリを使う人が増えていますし、カーナビ専用機も最近はしっかり目的地の前まで案内するようになっている機種が多いように感じます。

 筆者はカロッツェリアのDVDナビ時代にたいへんお世話になりましたが、確かに「目的地周辺です。案内を終了します」という音声とともに案内モードが解除されていたのを思い出します。ほかにも、パナソニックやクラリオン製のナビでも同様の仕様だったという報告もありました。



 その一方で、時期は不明ですが「富士通」製のナビでは目的地の前まで案内されたという報告が見られるので、必ずしも「周辺で終了」が業界の統一仕様ではないようです。ちなみに韓国メーカーの純正ナビのマニュアルにも、目的地周辺で案内を終了するという記述がある機種がいくつか見られました。

 では、その案内を周辺で終了すると設定されていた理由はどんなものでしょうか?

■周辺で案内終了するワケを考えてみる

<その1>目的地の周辺がゴールだとしても十分、あるいはそのほうが適切だという判断

 昔のカーナビでは、「目的地の近くまで案内できれば案内の目的は十分果たした」という考えで設計されていたフシがあります。実際にとある施設の案内をさせた場合、その施設の周辺まで来ればその建物や看板などが目視できることが多いだろうということで、そこで案内動作を終了させていたのではないでしょうか。

 また、運転中は当然のことながらクルマを走行させているため、細かく案内を行うとナビに運転者の注意が向けられてしまい、後続車などに迷惑をかけてしまうおそれがあります。それを防ぐという考えもあるでしょう。



 あるいは、地図のデータには目的地の駐車場の入り口などの施設に関するデータは含まれていなかったため、そこから先はドライバー自身の判断で任意に行動してもらったほうが適切だという判断もあったと思われます。

 目的地の前までクルマで入れないというケースも考えられますし、たとえば、レストランを目的地にしたとき、建物の前や地下などに駐車場が設けられていないケースもあります。道幅が狭く建物の前まで入れないこともあるでしょう。そういうときは、ナビが「近くまで来ました」と案内を終えて、あとは運転している人が自分で判断する方がスムースだろう、という設計だったのです。
<その2>GPSや地図データがいまほど正確ではなかったから

 もうひとつの理由として、当時のカーナビの正確さに限界があったことが挙げられます。いまのナビは位置情報の精度向上などによって数m単位で位置がわかるようになっていますが、昔は10m以上ずれることも珍しくありませんでした。ときどき衛星とのコネクションが絶たれてしまい、フリーズしたナビに向かって「おーい!」と声に出してしまうこともありました。



 そのため、目的地のすぐ前まで案内しようとすると、「もう少し先です」「ルートを外れました」など、不確定な指示を出してしまうことがあったようです。なので、そうならないようにある程度近づいたところで案内を止めたほうが間違いが少ないと判断された可能性はあると思います。

ナビはあくまで「運転の脇役」


<その3>ナビのCPUの処理能力が足りていなかった

 昔のカーナビのCPUは、いまの機種やスマホに比べると数百分の一ともいわれるくらいの処理能力しかありませんでした。そのため、画面表示や音声案内の処理にたくさんの力を使うと、動作が遅くなってしまうこともあったのです。



 とくに目的地に近付くにつれて案内が細かくなるので、処理しなければならない情報が増えていき、それに比例して動作が遅くなります。案内が間に合わないと運転者に戸惑いを与えてしまうため、事故や周囲に迷惑をかけるリスクを避けるために周辺で案内を終了することがベストだと判断されていた可能性は高いと思われます。

 ちなみに、案内を終えたあとはドライバーが任意にナビを操作して、周辺の駐車場などをすぐ探せるようにしていた機種もありました。

<その4>音声案内がしつこく感じないようにするため

「まもなく右方向です」「もうすぐ目的地です」「目的地に到着しました」と短い間に何度も話しかけられると、ちょっと煩わしいなと感じる人もいるでしょう。



 煩わしさは感じない場合でも、夜や住宅街では音声が周囲の迷惑になることもあります。それを避けるために案内を周辺で止めていたというのも理由の1つに挙げられるでしょう。

<その5>「機械(ナビ)はあくまで補助役」という考え方

 日本のメーカーの多くは、「ナビは運転をサポートするもので、決定するのは運転者自身」という考えを大切にしてきた傾向が見られます。その傾向を反映させて、「目的地の近くまで案内したら、あとは自分でどうぞ」というように、少し控えめな案内をする設計が多かったのではないかと思われます。



 この考え方は、「親切だけど出しゃばりすぎない」という日本人らしい製品作りの現れともいえるのではないでしょうか。

■カーナビの進歩から、日本のものづくりの精神が垣間見られる

 ひと昔前のカーナビが目的地の周辺で案内をやめていたのは、決して手抜きではなく、精度や機能の限界を考えたうえで、運転者にとってわかりやすいように工夫された結果だったのではないでしょうか。

 いまではそのころよりもはるかに技術が進み、ナビはより正確で便利になりました。しかし昔の「近くまで案内したら静かに終える」という考え方には、使う人への気づかいや、シンプルで安心できる設計思想が感じられます。

 こうしてカーナビの歴史を振り返ってみると、単なる技術の進歩だけでなく、「人や社会に優しい補助役」を目指してきた日本のものづくりの姿勢が見えてくるようにも感じられました。


引用元:https://www.webcartop.jp/2025/11/1747256/


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