「保険があるから」の慢心はダメ!! 同じ水害のはずが洪水と津波では別扱い!? 水害を受けた際の保険適応の違いは?
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ベストカーWeb より

夏から秋にかけて、日本列島を襲う台風や集中豪雨。 「このくらいなら大丈夫」と思っていた雨が、あっという間に冠水を引き起こし、思いがけず車が水にのまれてしまう被害が、毎年のように報道されています。愛車が一瞬でダメになってしまう水害は、決して他人事ではありません。
文:佐々木 亘/Adobe Stock(メイン画像=Nelson Antoine)
水害の怖さ! クルマはこうして壊れる
クルマは私たちが思っている以上に、水に弱いものです。ほんの数十センチの冠水でも、エンジンに水が入って動かなくなったり、電装系がショートして修理不可能になったりすることがあります。
特に駐車中の浸水は深刻です。車内のカーペットやシートが水浸しになるだけでなく、見えないところに大きな損傷を受けてしまいます。車両の浸水被害では、水位がシート座面の高さを超えると、保険の判定的には全損扱いとなることが多く、ディーラーでも修理不可とされて愛車を失ってしまうかもしれません。
さらに注意したいのが、「運転中に水たまりに突っ込んでしまった」ケース。 一見、浅そうに見える水たまりでも、むやみに突っ込んでしまうと、クルマが立ち往生するだけでなく、エンジンが水を吸い込んで故障し、最悪の場合はクルマごと流されてしまうこともあります。
水の溜まっているところ、溜まりそうなところには、クルマを置かない・近づかない事が大鉄則です。
洪水はOK? 津波はダメ? 同じ水でも補償が違う保険の意外な落とし穴
もし、クルマが水害にあっても「自動車保険で何とかなるでしょ?」と思っている人は多いですが、実はその考えには危険が潜んでいます。水害による被害をカバーするには車両保険への加入が必須で、賠償保険だけでは台風や豪雨で壊れてしまったクルマに対して、一切お金が出ません。
さらにややこしいのが、「津波=水害」ではという点です。津波被害は水害のように感じられるかもしれませんが、自動車保険や災害区分では、この2つはまったくの別物として扱われています。
水害は、台風や豪雨、融雪などの気象現象によって引き起こされるものです。たとえば、河川の氾濫や土砂崩れ、道路の冠水などは典型的な水害にあたります。一方、津波は、地震や海底の地殻変動が原因で起こるもの。つまり、同じ水の被害であっても、原因がまったく異なるため、分類上も別物なのです。
この区分は、自動車保険の補償範囲にも直結しています。車両保険では、台風や大雨でクルマが浸水した場合に補償の対象になりますが、地震による津波でクルマが流された場合は補償されないことが一般的です。多くの自動車保険や火災保険では「地震・噴火・津波による損害」は免責事項、つまり補償の対象外とされているため、認識を改める必要があるでしょう。
危険が予知できる時に運転することで保険がつかえなくなることも
大雨で視界がほぼゼロという状況での運転は、「危険を予見できたのに、あえて運転した」と判断されることがあり、保険での補償が受けにくくなります。また、強風によって飛来物がクルマにぶつかってきたケースや、突風でハンドルをとられて事故に至るケースも同様。「気象警報が出ていたのに無理をして外出した」と判断されれば、保険会社が支払いに慎重になることもあるのです。
自然災害下での運転には、保険の壁があります。だからこそ、少しでも不安を感じたら「出かけない」という選択肢も、愛車と自分を守る重要な判断と言えるでしょう。
こうした自動車保険の境界線を正しく知っておくことは、いざというときに泣き寝入りしないための第一歩です。毎年のように起こる自然災害に備えて、今一度ご自身の保険内容を確認し、「うちは大丈夫」と思い込まずに対策をしておきましょう。