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「リコール」一発で企業が倒産するほどのダメージを負うこともある! いま自動車業界のリコール規模が大きくなっている背景
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WEB CARTOP より

リコールは件数も規模も増している


リコールとは、クルマの設計や製造に不具合があったとき、その原因や改善の措置について使用者へ通知する制度をいう。また国土交通省も、そうした情報を入手した場合は、必要な措置を行うよう企業へ勧告する。

リコールに関わる費用は、使用者への通知など含め企業の負担だ。使用者に費用負担はない。もし、リコールを怠った場合は、1年以下の拘禁刑または300万円の罰金が科せられる可能性がある。

違反行為がなくても、リコールの対象車両の数が多くなれば、企業にとって大きな費用負担になる。単に原因の追及だけでなく、対策部品の製造と、生産する設備などへの改善や調整なども行わなければならない。販売店では、通常の点検整備以外に、リコール対応の作業を強いられることになる。

世界的に大規模なリコールとなったのは、10年ほど前の日本製エアバッグの事例だろう。対象車数は、米国内だけでも4000万台以上とされた。その結果、エアバッグメーカーは倒産した。



そこまで大規模な事例でなくても、リコールの件数は増加傾向にある。対象となる車両の台数も規模が大きくなっている。それらの費用は企業負担となるので、倒産の可能性も出るわけだ。

そこで企業は、リコールの損害保険に加入することになる。損害保険会社は、リコールによってどういったことが起こるかを調査し、それに見合った契約内容を検討する。契約内容に沿ったリコールであれば保険での対応が可能になる。とはいえ、事前の保険料の支払いは生じる。

ほかに、毎年の利益のなかから、あらかじめリコールなど無償での部品交換や整備などに対処するための予算を設定しておく方法もあるようだ。これは一種の節税対策になる。

リコール問題は完成車メーカーだけの問題ではない


とはいえ、リコールの多くは完成車メーカーというより、そこへ納品している部品メーカーの部品に起因することが多い。より小規模な企業の負担は計り知れない。また、さらに下流の部品メーカーの部品を組み込んだ構成部品(アッセンブリー)の場合、原因となった部品の交換が難しい事例もあり、リコール部品を組み込んだアッセンブリーメーカーがリコールの負担に関わる事例もあるようだ。

リコールが正しく公表されるなら、修理すれば安心して継続利用できるので、リコールを悪く見るのではなくリコールを隠すことを悪とする認識をきちんと理解すべきだ。


年を追ってリコールの規模が拡大傾向にある背景には、グローバル化により世界で販売するクルマがリコールを出せば、世界規模での対処が必要になることがある。

また、1台のクルマだけでなく、そのクルマで使用する部品をほかの車種にも展開することは原価を抑え、生産段階では原価の低減につながる一方、万一リコールとなった際には、その部品を搭載するすべての車種に波及する。

当然ながら、慎重な設計や開発が求められるが、開発期間の短縮による原価低減が取り入れられるようになって、原価低減とリコールのイタチごっこになっているといえなくもない。

利益の追求は企業として当然の目的だが、クルマはもちろんのこと、身のまわりで使う機器など含め、丁寧な製品開発が欠かせないことを企業は改めて肝に銘じるべきだ。



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