「プラプラマイマイ」って覚えてるけど守らないとどうなる? クルマのバッテリー上がりの救援時にブースターケーブルを繋ぐ順序が決められているワケ
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WEB CARTOP より

ブースターケーブルを繋ぐ順番が決まっている理由
本サイトでも何度か取り上げてきたブースターケーブルの使い方。ブースターケーブルのありがたみ(価値?)は、1度でもその世話になった人なら身に染みてわかるだろう。
いざ出発、エンジンをかけようとセルモーターをまわそうとした瞬間、ク〜、ク〜……とあまりにスローなエンジンのまわり方(クランキング)。エンジンを目覚めさせる回転力にはほど遠く、内心は「ヤバイ、バッテリーを上げてしまった!」と焦りの境地。単独でエンジンをかけようとしたら、フル充電状態の元気なバッテリーが必要だ。
「どうしよう? バッテリーをクルマから降ろして充電機につなぐ? 新品バッテリーを買ってきて載せ替える? JAFなどの救援組織に連絡する?」
それでも、充電や買い換えるための環境が整った自宅ならまだしも、出先などでは充電作業や新品の購入はなかなかむずかしい。もっとも現実的なのは、救援を依頼する方法だが、先方がタイミングよく来てくれるかどうか。
いずれにしても、バッテリーを上げてしまうのはなにかとやっかいなことだが、ブースターケーブルがあり、周囲に電気を供給してくれるクルマが存在する場合には、それほど苦労せずエンジンを始動させることができる。バッテリーを上げてしまったが、ブースターケーブルのお陰で窮地を脱した経験をもつ人も少なからずいるだろう。
さて、このブースターケーブルによる電気の救援作業だが、注意しなければならないこととして「つなぎ方の順番」が重要視されている。正しい順序でつながなければ危ないことになる、という注意の喚起だ。
一般に推奨されているブースターケーブルのつなぎ順は以下だ。
①:バッテリーを上げた車両のプラス端子
②:救援車のプラス端子
③:救援車のマイナス端子
④:バッテリーを上げた車両のマイナス端子
これが、正しい接続順とされているが、ではなぜこの順番なのか?
その理由を考えてみると、ブースターケーブルの使い方に隠された、より安全性の高い電気の供給方法が見えてくる。
繋ぐ際にミスがあると大惨事に
まず、なぜプラス端子からなのか、マイナス端子が先ではいけないのか? これは、自動車のプラス端子とマイナス端子の違いを構造から考えてみればわかるだろう。バッテリーのプラス端子は、それ以外の部分とつながっていないが、マイナス端子は、別名「マイナスアース」と言われるように、各電装機器のマイナス側を車体(鉄板)とつなぎ、最終的に車体からバッテリーのマイナス端子とつなぐことで電気の流れを形作っている。
ということは、マイナス端子側を先につないでしまうと、それぞれの車体同士が電気的につながったことになり、万が一プラス端子が車体と接触した場合、ショートを起こしてしまうことになり、とても危険であるからだ。これがプラス端子同士の接続だと、つながっているのは両車のバッテリープラス端子だけで、マイナス端子のように車体同士がつながることにはならない。
救援車ではなく上がった車両のバッテリープラス端子を先にするのは、バッテリーが弱っているためプラス端子から流れる電気(電圧/電流)が小さく、誤接触による被害が小さくなると考えられるからだ。ただし、上がったとはいってもバッテリー電圧は0ボルトでないため、マイナス側と接触すればショートを起こすことには違いない。(理論的に上がったバッテリーの電圧0ボルトはあり得るが、こうしたケースでブースターケーブルによる救援効果はほぼない)。
さて、こうして考えてみると、端子との接続作業さえ正確に行うことができれば、接続順はあまり考えなくともよさそうだ。ただし、接続作業中にバッテリーとつながったブースターケーブルの一方を、誤って車体に接触させてしまうとそこでショートを起こしてしまう。
ブースターケーブルの接続順は、救援側と被救援側、どちらの端子から先に行っても電気の供給は行えるが、その際に生じる作業ミス(ケーブルと車体の接触)によるリスクを考えると、もっともリスク(被害)の小さな方法がバッテリーを上げたクルマのプラス端子から始めるのが安全な接続順となる。
とにかく、ブースターケーブルを扱う際にもっとも気をつけなければいけないことは、プラスとマイナスの接触による事故、ショートである。推奨される接続順は、じつは、万が一ショート(ブースターケーブルのプラス側とマイナス回路との接触)させた場合、その影響(被害)を最小限に抑えられるよう配慮した結果のものともいえる。
極論をいえば、接続順を変えても、端子さえ接触(ショート)させなければ、ごく普通に救援作業を行うことができる。しかし、万が一ショートさせた場合、影響(被害)を最小限に抑える方法として、ケーブルの接続順が存在する……と考えておいてよいだろう。
救援の実作業において、意味がないようで重要な意味をもつブースターケーブルの接続順。この接続順を守ることは、万が一の事故が起きた場合にも、その被害を最小限に抑えるためだと肝に銘じておこう。